桑原動物病院

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〒371-0804 群馬県前橋市六供町1丁目8-3

病気について

てんかん
ご存知ですか? 犬の100頭に1頭は「てんかん」を持っています。
てんかんは早期発見と薬による治療で発作を抑えていくことができます。
桑原動物病院では、犬のてんかん治療に力を入れ、
動物とヒトのQOL(生活の質)向上を積極的にサポートしてまいります。
てんかんとは?
てんかんとは、脳の神経細胞群やネットワークが過剰に活動することで一時的な症状(てんかん発作)が繰り返し起こる脳の病気です。てんかんは、ヒトも含めてすべての動物(魚類、鳥類、ヘビ、牛、馬、豚、羊、ライオンなど)がかかりうる病気です。てんかんは、犬と猫とで比較すると犬の方が猫の倍近く発生率が高くなっており、およそ100頭に1頭、純血種の場合だと50頭に1頭がてんかんであるといわれています。
てんかんは慢性的な脳の病気であるため、〝てんかん発作を繰り返す〟という性質があります。
てんかんが起きる原因
てんかんは、てんかん発作を起こす原因や発作が始まった年齢、症状、検査所見をもとに、
「特発性てんかん」と「構造的てんかん」と「反応性発作」の3つに大別されます
  • 特発性
    原因の特定が難しいてんかんを指します。犬のてんかんのほとんどはこの特発性てんかんです。
    遺伝的な要素が関係しているとも言われており、てんかんになりやすい犬種があることが知られています。
    [てんかん好発犬種]
    ダックス、ビーグル、プードル、シェルティー、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、
    フィニッシュ・スピッツ、ボーダー・コリー、ボーダー・テリアなど
  • 構造的
    交通事故など外傷による後遺症や脳腫瘍、脳炎、脳奇形、水頭症などが原因で引き起こされるてんかんです。
    構造的てんかんは、脳に目で見てわかるような障害や傷があります。構造的てんかんは、MRI検査を受けることでハッキリとします。
  • 反応性発作
    中毒疾患や低血糖、肝臓病、腎臓病などの「脳以外の病気」でてんかん発作を起こす発作のことをいいます。
てんかんの発作について
てんかんの発作には様々なものがあります。脚など体の一部がピクピクする程度の小さなもの(焦点性発作)から、意識を失って全身がけいれんするような大きなもの(全般発作)まで、その種類は様々です。発作の頻度も、年に一度といった程度から数日間隔で頻繁に起きるものまで幅があります。
てんかんの発作は自然に治まることがほとんどですが、進行して発生頻度が高くなると危険な状態(てんかん重積)に陥るため、早急な処置が必要です。
  • 焦点性発作
    脳の一部だけが電気的に興奮状態になり、そこと関係する体の一部に変化が起きている状態です。
    意識に関係する脳の部分が興奮状態になると、顔面がけいれんしたり、大量によだれを流したり、呼びかけても反応せず瞳孔が開いた状態になったりします。 焦点性発作
  • 全般発作
    全般発作とは、脳全体が一斉に興奮する状態をいいます。意識を失い、全身が激しくけいれんしている状態です。
    体を反らせて奇声を発したり、四肢が伸び切ったようになったり、全身や口を震わせて泡を吹いたりします。
    通常は数十秒から2、3分程度で治まり、普通の状態に戻ります。 全般発作
てんかんの発作が起きたら
てんかんの発作を初めて見た時、飼い主様の多くは驚いてショックを受けられることと思います。通常、一度のてんかん発作で死に至ることはありませんが、発作の種類(*注)によっては死に至ることもありえますので、救急的な処置が必要となる場合もあります。発作に遭遇した時は、どうか落ち着いて状態を観察し、下記5つのチェックポイントで記録をとってください(動画で記録できればさらに診断がスムーズです)。
特に注意が必要なてんかん発作
このような症状が見られたら、すみやかに受診してください。
  • 群発発作
    24時間以内に2回以上のてんかん発作が認められる状態。通常、一日あるいは数日の間に発作を数回繰り返します。
  • 重積発作
    全般発作であれ、焦点性発作であれ、1回の発作が5分以上持続する状態、および2回以上のてんかん発作で完全に意識がないまま発作が連続する場合。
check
  • 01
    発作はいつ、どんな状況で起きたか? (食事中か食後か、運動中か運動後かなど)
  • 02
    発作の状態はどうだったか? (部分的か、全身か)
  • 03
    意識はあったか?(声かけに反応したか、目はどうだったかなど)
  • 04
    発作はどれくらい続いたか?(時間をできるだけ正確に)
  • 05
    発作が治まった後の様子はどうだったか? 
てんかんは発作が繰り返し起きる病気です。初めて発作に遭遇した時はすぐに受診していただくのが一番安心かと思いますが、しばらく様子を見て、次に発作が起きた時点で受診していただいても構いません。ただし、発作を2回以上起こした場合や1回の発作が5分以上持続する場合、進行性の脳疾患によるものかどうかなど詳しく検査した上で投薬治療の方法などを選択していく必要がありますので、できるだけ早く受診されることをおすすめします。
てんかんの診断・検査
てんかんの診断には、問診や発作の症状がとても重要になります。
また、身体検査、神経学的検査、血液検査、X線検査、尿検査など各種検査を組み合わせて総合的に診断していきます。
その上で、脳波やMRI検査を行って診断の補助とします。脳波検査とMRI検査には鎮静、麻酔が必要になります。
  • 脳波検査 てんかん猫の脳波検査です。矢印の箇所は、側頭部優位に棘波(スパイク)および棘徐波が出現していることを表しています。
  • MRI画像 てんかん犬のMRI画像です。片側の海馬の萎縮および高信号が認められます。
てんかんの薬
てんかんは抗てんかん薬を継続的に投薬することで発作の発生をコントロールすることができます。投薬当初は、副作用がどう現れるかを注視し、投薬開始2~3週間後に血中濃度を測定して薬の効き具合などを細かく調べていきます。血中濃度と発作の頻度との関係を評価しながら抗てんかん薬の適正な量を調整し、その子に適した投薬治療を進めていくという流れになります。
てんかんの発作は日常生活の中で突然起こります。発作が起きても動物自身が痛みや苦しみを感じる場合はほとんどなく、むしろ苦しそうにしている愛犬を見る飼い主様側が不安やストレスを感じられることと思います。発作は次に起こるまでの間隔が短くなっていくと「進行」していると言えます。進行を放置しておくと前述の危険な状態(てんかん重積)になり、命の危険を伴います。
てんかんは、残念ながら根治させることはできませんが、投薬で発作をコントロールしていくことはできます。てんかん治療の目標は、発作を抑えることでご家族の不安をやわらげること、動物と健やかに笑顔で暮らせる時間を長くすることであり、QOL(クオリティオブライフ=生活の質)の向上をめざすことです。ご不安を抱えていらっしゃる飼い主様はぜひ一度ご相談ください。