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地元前橋で生まれ、小さい頃から父の仕事である獣医療を身近に感じながら育ちました。
「一生〝賢〟命」「一生勉強」をモットーに日々邁進してまいります。
2008年 | 日本獣医生命科学大学 獣医学部 卒業 獣医放射線学教室在籍 |
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2012年 | 日本獣医生命科学大学 大学院博士課程 修了 (獣医学博士号 取得) |
2012-15年 | 渡辺動物病院(静岡県)勤務 |
2015年4月 | 桑原動物病院 副院長就任 |
2017年4月 | 群馬県前橋市 桑原動物病院 前橋アニマルメディカルセンター 院長就任 |
家族の一員である犬や猫が、目の前で突然、発作をおこしてしまったら、びっくりしてどうしたらよいのかわからない方も多いと思います。しかし、動物のてんかんは正しい治療を行えばそれほど難しい病気ではありません。まずはてんかんとはどんな病気であるのかについて正しく理解していきましょう。当院は、犬・猫のてんかんを専門的にみることができる動物病院です。
意識を失う
よだれが出る
突然身体が硬直する
手足をバタバタさせる
手足や顔、全身でけいれんを起こしている
一点を凝視したり、ハエなどの小さな虫を噛むような行動
落ち着きがない
てんかん発作は最悪の場合、後遺症が残ってしまったり、命に関わる危険性があります。
少しでも異常が見られた場合、すぐに検査をする必要があります。
てんかんとは、様々な原因で大脳の神経細胞群やネットワークが過剰に興奮するため、発作性の症状(てんかん発作)が繰り返しおこる脳の病気です。ヒトも動物も同様に、てんかん発作は、脳の興奮と抑制のアンバランスによっておこるものと考えられています。犬・猫以外にも、馬、牛、豚、ライオン、サル、羊や山羊などでもてんかんあるいはてんかん発作が確認されています。てんかんは、犬と猫とで比較すると犬の方が猫の倍近く発生率が高くなっており、犬ではおよそ100頭に1頭がてんかんであるといわれています。
てんかんは、「慢性的な脳の病気」であるため、「発作を繰り返す」という性質があります。具体的には、「24時間以上の間隔をあけて、2回以上のてんかん発作が認められる脳の病気」と定義されています。そのため、1回だけの発作では、まだ「てんかん」とは診断できません。また、農薬を食べてしまって発作を起こしたり、低血糖症で発作が見られたりすることもありますが、脳以外の病気(心臓、肝臓や腎臓)でてんかん発作を起こした場合には「反応性発作」といって脳が原因のてんかんとは区別しています。
てんかんの発作には様々なものがあります。足などの体の一部がピクピクする程度の小さなもの(焦点性発作)から、意識を失って全身がけいれんするような大きなもの(全般発作)まで、その種類は様々です。てんかん発作の頻度も、年に一度といった程度から数日間隔で頻繁に起きるものまで幅があります。通常、てんかん発作は自然に治まること(自己終息性)がほとんどですが、進行して発作頻度が高くなると危険な状態(てんかん重積、群発発作)に陥るため、早急な処置が必要となります。
脳の一部だけが電気的に興奮状態になり、そこと関係する体の一部に変化が起きている状態です。意識に関係する脳の部分が興奮状態になると、顔面がけいれんしたり、大量によだれを流したり、呼びかけに反応せず瞳孔が開いた状態になったりします。
全般発作とは、脳全体が一斉に興奮する状態をいいます。意識を失い、全身が激しくけいれんしている状態です。体を反らせて奇声を発したり、四肢が伸びきったようになり、全身や口を震わせて泡を吹いたりします。通常は数十秒から2、3分程度で治まり、普通の状態に戻ります。
1回の発作が5分以上持続するか、意識が回復する前に発作が連続して起こる状態です。
24時間以内に2回以上の独立した発作が連続しておこります。
例えば、午前中に2回発作が起こり、夕方には3回発作が起こるなど、1日に何回も発作が出ることです。
特発性てんかんは身体診察、神経学的検査や血液検査に異常が認められず、CT/MRI検査でも脳に目で見てわかるような原因がないのに発作だけが繰り返し起こるものを指します。犬のてんかんのほとんどはこの特発性てんかんです。また、特発性てんかんには「遺伝性てんかん」「おそらく遺伝性てんかん」「原因不明のてんかん」の3つのサブカテゴリーがあります。
構造的てんかんの多くは、身体診察や神経学的検査において異常が認められることが多く、さらにCT/MRI検査で脳に目で見てわかるような障害や傷があります。例えば、脳炎、脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷や水頭症などの先天的な脳奇形などです。構造的てんかんでは、初発発作の年齢が6カ月未満あるいは7歳以上のことが多く、さらに初発発作が単発(単回)ではなく、群発発作や発作重積を呈することもあります。
また、症状にも左右差が認められる事が多いので注意して観察してください。例えば、左側の顔面けいれんが見られる場合には、右側の大脳病変が疑われ、構造的てんかんの可能性が示唆されます。
遺伝子が同定された単一遺伝性てんかん犬は、ラゴット・ロマニョーロ、ローデシアン・リッジバックなどで報告されておりますが、日本では馴染みのない犬種となります。
関連遺伝子はまだ同定されていないが、家系解析や同一品種内で2%を越える高い発生率あるいは疫学調査により遺伝的影響が支持されるものを指します。代表的犬種としては、ゴールデン・レトリーバー、ボーダー・コリー、オーストラリアン・シェパード、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ダルメシアン、ジャーマン・シェパード、ビーグル、シベリアン・ハスキー、などがあります。
脳のある一部に何らかの機能異常や微小な構造異常があるかもしれませんが、現在の検査技術(画像検査や血液検査)ではその原因を特定することができないものを指し、多くの犬と猫のてんかんがここに分類されます。
発作の寛解(seizure free)が治療目標となりますが、動物の場合には、完全に発作をゼロにすることが難しいです。そのため、動物における発作コントロールのゴールは、治療による副作用を最小限に抑えつつ、発作頻度を3カ月に1回未満にコントロールすること、あるいは治療開始前の発作頻度より50%以上減少することを目標にしています。また、発作回数の減少だけではなく、発作の軽症化も重要となります。加えて、動物とそのご家族の生活の質の維持・向上を保つことも重要視してます。
動物の健康状態やご家族のライフスタイルなどを考慮して、個々の状態に適した投薬治療をご提案いたします。
抗てんかん発作薬による薬物療法は、生涯にわたって投薬が必要になることがほとんどです。そのため、むやみにいろいろな薬剤を使用するのではなく、原則、単剤療法が推奨されております。当院では、個々の動物の特性や経済的状況などに応じ個別に最適な薬剤を選択しております。
難治性てんかん症例における食事療法として、中鎖脂肪酸(Medium-chain triglycerides; MCT)食がてんかん発作を減少させることが報告され、日本でもMCT食である犬用フードが販売されております。当院では、難治性てんかんの症例や発作の回数に限らず、てんかんをもっている動物であれば、日常のメンテナンスフードとして利用することも多いです。ただし、MCTオイル入りの療法食は、通常の療法食よりも高価なため、抗てんかん発作薬ではなかなか発作がコントロールされにくい子に対して利用を推奨する場合もあります。
てんかんの治療では、サプリメントを治療の補助として用いることで、発作を軽減できることがあります。
ただし、あくまでもサプリメントのため、治療効果に個体差があり、抗てんかん発作薬で充分な効果が認められない子に対して、食事療法と併せて適切な成分を含んだものをおすすめしております。
ヒトの難治性てんかん症例では、手術によるてんかん発作の抑制が一般的に行われています。獣医学領域においても、研究段階ではあるものの、迷走神経刺激療法、神経線維の遮断を行う遮断外科、大脳皮質の一部を切除する切除外科、深部脳刺激や低侵襲な経頭蓋磁気刺激などの神経修飾療法も行われつつあります。
※犬猫の難治性てんかん症例でてんかん外科をご希望される場合には、専門の大学病院をご紹介いたします。
STEP1ご相談・問診
てんかんの問診では、まずはその発作がてんかん発作であるのか他の発作性疾患であるのかを鑑別する必要があります。そのため、発作の発症年齢、発作の持続時間、意識障害の有無、発作前後にどんな徴候を伴っていたのか、発作の誘因となるものはあったのか、などの情報をじっくりと聴取します。多くの場合、てんかん発作を獣医師が診察室で観察することができないため、最近では、ご家族の方がスマートフォンなどで動画撮影している場合もあるので、発作の様子を実際に確認しながら問診を行うこともあります。
STEP2検査
問診の後には、身体診察と神経学的検査を実施します。
検査内容
①身体診察
体重、体温、心拍数、呼吸数、脈圧、毛細血管再充満時間(CRT)
聴診(心音、肺音、呼吸音)、全身の触診や視診
②神経学的検査
意識レベル、知性・行動の評価、姿勢や歩様の観察、不随意運動の有無を確認します。
姿勢反応の検査や脊髄反射の評価を行います。
脳神経検査、知覚や排尿機能などの評価を行います。
③血液検査
てんかんの診断における血液検査の目的は、てんかん発作以外の発作の原因や中毒や代謝性疾患などの病気の除外が主となります。一般的にてんかんは血液検査で異常は認められません。
血液検査(CBC)
血液化学検査(TP、ALB、ALT、ALP、Tbil、Tcho、Glu、BUN、Cre、Ca、P、TG、電解質、NH3あるいは空腹時のTBA)
④尿検査
尿比重、蛋白、糖やpHの評価、尿沈渣細胞診の評価
⑤X線検査、超音波検査や心電図検査
発作の原因を除外するため、胸腔内や腹腔内についても詳しく評価を行います。
⑥脳波検査
ヒトではてんかん診断の中で最も重要な検査となりますが、犬猫では頭蓋形態に種差や大きさが異なり、頭蓋を被う筋肉も厚いため、きれいな脳波記録できないことが多いです。しかし、てんかんであれば脳波検査を実施して6〜7割の動物でてんかんに特徴的な異常波が検出されます。
⑦脳MRI、CT検査
脳の構造異常を検出することが可能です。特発性てんかんの場合には、大脳の電気的回路の異常であるため、MRI/CT検査で異常が見つかることは少ないです。そのため、てんかんの画像診断では、構造的てんかん、すなわち、脳の先天奇形、脳の損傷や萎縮、脳炎、脳腫瘍や脳梗塞などの異常の有無を確認します。動物の場合には、MRI・CT検査は鎮静剤や全身麻酔での検査が必要となります。MRI・CT検査が必要かどうかは、動物の状態によって異なりますのでご相談ください。※MRI検査は連携施設にて行っております。
STEP3治療提案
てんかん治療の基本は、抗てんかん発作薬による内科治療が中心となります。また一生涯を通じての治療が必要となるため、動物の健康状態やご家族のライフスタイルなどを考慮して、個々の状態に適した投薬治療をご提案いたします。
STEP4治療
治療の基本は、抗てんかん発作薬による内科治療となります。現実的には特発性てんかんのうち70〜80%の動物では抗てんかん発作薬によって発作を抑えることができます。最初は1種類の薬から開始しますが、それでも発作を繰り返したり、上手くコントロールできない場合には、薬の増量や2種類以上の薬を併用することもあります。
STEP5その後のケア
投薬開始後は、投薬が上手に行えているかどうか、投薬開始前と比較して発作状況(頻度や程度)が変化したのか、元気・食欲の低下や嘔吐・下痢などの消化器症状は出現していないかなどを確認します。注意点としては、抗てんかん発作薬を内服したからといってすぐに発作が止まるわけではありません。まずは、内服による薬の安定化が必要となります。そのため、動物の体の中で薬の濃度が安定しているかどうか定期的に血液検査を行い、薬の血中濃度の測定を行います。これらの検査結果をもとに、投与量の調整、副作用が認められる場合には薬剤の変更などを行います。
※ご不明点などはお気軽にお問い合わせください。
愛犬の突発的なてんかん治療をしました。
愛犬の突発的なてんかんに悩んでおりました。ひどいときは1日に3回以上発作もあり、落ち着かない日々でした。桑原先生は家での様子や動画などもしっかりと見て話を聞いてくださり、てんかんのメカニズムや治療の方向性など丁寧に説明をしてくださりました。
おかげさまで、いまでは発作が起きることはほとんどなくなり、うまく病気と付き合いながら幸せな生活をすることができています!
愛犬が突然けいれんを起こし、こちらの病院をかかりました。
突発的な全身のけいれんのような症状が続き死んでしまうのではないかと思ってました。藁にもすがる思いで桑原先生に診ていただき、今では症状もうまくコントロールすることができ、落ち着いています。
何よりも、てんかんは一生付き合っていく病気であること、症状が出たときの対処法など親身に教えてくださり、急な発作にも冷静に対応することができるようになりました。
ご予約の際の注意事項
診療対象
エキゾチックなどその他の動物に関しては現在は新規の診察を行っておりません