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【獣医師監修】麻痺症状に対する東洋医学治療とは|犬猫の神経回復を促す治療法|前橋市の桑原動物病院

【獣医師監修】麻痺症状に対する東洋医学治療とは|犬猫の神経回復を促す治療法|前橋市の桑原動物病院

犬や猫の「麻痺(まひ)」は、突然起こることも多く、飼い主さまにとって大きな不安につながります。
麻痺は放置すると筋肉の萎縮や関節のこわばりを招き、回復が難しくなることもあります。
桑原動物病院では、原因の診断と西洋医学的な治療を土台にしながら、鍼灸・温灸などの東洋医学治療を併用し、神経回復と生活の質(QOL)を支える治療をご提案しています。

東洋医学治療:お身体にできるだけ負担をかけない鍼やお灸による東洋医学治療


麻痺症状とは?

犬や猫の麻痺とは、神経の伝達がうまくいかず、体の一部が動かしにくくなる状態を指します。
たとえば「後ろ足が動かない」「立ち上がれない」「顔の筋肉が動かない」など、部位や原因によって症状はさまざまです。
軽度であれば一時的なふらつきで済むこともありますが、重度になると歩行困難や排泄障害を引き起こすことがあります。
この状態を放置すると、筋肉の萎縮や関節のこわばりにつながるため、早めの受診・治療が大切です。


なぜ麻痺が起こるのか

麻痺の原因は多岐にわたります。代表的なものは以下の通りです。

  • 椎間板ヘルニア:脊髄(背骨の中の神経)が圧迫され、後肢が動かなくなる
  • 外傷:交通事故や落下などで神経が損傷する
  • 神経炎・感染症:炎症により神経の働きが一時的に低下する
  • 老齢性変化:加齢により神経伝達が衰える
  • 術後・麻酔後の一時的な神経麻痺

神経は回復に時間がかかる組織ですが、適切な治療・リハビリ・血流の確保などを行うことで、回復を助けられるケースがあります。


こんな症状は要注意

以下のような様子が見られたら、神経麻痺の可能性があります。

  • 歩くときに足を引きずる・クロスする
  • 立ち上がるのに時間がかかる
  • 後ろ足がフラつく・すぐに座り込む
  • 排尿・排便がうまくできない
  • 顔の片側が動かない・まばたきが減る

これらは麻痺の初期サインであることがあります。
症状が軽いうちに受診するほど、回復の見込みが高まります。


東洋医学治療でできること

東洋医学治療(鍼灸・温灸など)は、麻痺した部分の神経回復や血流改善を促す補助療法として注目されています。
当院では、西洋医学的な診断・治療を行った上で、必要に応じて東洋医学を併用します。

  • 血流改善:鍼刺激により筋肉や神経への血液供給を促し、酸素・栄養を届けやすくします
  • 神経伝達のサポート:電気鍼やツボ刺激で、神経の働きを整えることを目指します
  • 痛み・こわばりの緩和:筋肉の緊張をゆるめ、疼痛や可動域の低下を軽減します

東洋医学では麻痺を「経絡(けいらく)の滞り」と捉え、鍼やお灸で“流れ”を整え、体が持つ回復力を引き出す考え方をします。
特に、発症から早い段階(目安として2〜3週間以内)に開始することで、治療計画を立てやすいケースがあります。

東洋医学治療:お身体にできるだけ負担をかけない鍼やお灸による東洋医学治療


動物病院でできる一般治療(西洋医学)

神経麻痺の治療は、原因によって方法が異なります。

  • 内科的治療:炎症を抑える薬、痛みの管理、ビタミン剤などの投与
  • 外科的治療:椎間板ヘルニアや骨折など、神経圧迫を取り除く手術
  • 東洋医学の併用:神経回復のサポート、疼痛緩和、リハビリ補助として実施

桑原動物病院では、西洋医学と東洋医学を組み合わせた統合的アプローチで治療を行います。


当院での麻痺症状に対する東洋医学治療の特徴

当院では、麻痺症状の原因と体質を丁寧に見極めたうえで、神経回復を目的とした鍼灸・温灸治療を行っています。
温灸を組み合わせることで、冷えによる筋緊張を和らげ、リラックス効果も期待できます。
実際に、「足が少しずつ動くようになった」「歩こうとする意欲が戻った」といった変化が見られるケースもあります。


ご自宅でできるケア

麻痺がある犬猫は、環境の工夫で生活の負担を減らせます。

  • 保温:冷えは回復の妨げになることがあるため、室温を一定に
  • 床材の工夫:滑りにくいマットを敷き、転倒を防ぐ
  • 排泄補助:動けない場合はタオルやおむつでサポートし、皮膚トラブルを予防
  • マッサージ・リハビリ:やさしく体をさすり、血流を促す(無理は禁物)

無理のない範囲で毎日少しずつケアを続けることで、筋肉のこわばりや関節の硬化を防ぎやすくなります。
リハビリ内容は状態により異なるため、診察時に当院へご相談ください。


よくある質問(Q&A)

Q1. 東洋医学治療はどれくらいの頻度で行うのですか?

A. 症状の程度や経過によりますが、初期は週1〜2回から開始し、回復に合わせて間隔を調整することが一般的です。

Q2. 手術後でも鍼灸を受けられますか?

A. はい。術後の状態に応じて、リハビリや疼痛管理の一環として鍼灸を併用し、回復をサポートすることがあります。

Q3. 麻痺が長く続いていますが、効果はありますか?

A. 時間が経っている場合でも、血流改善や筋肉のこわばり緩和など、生活の質(QOL)を高める目的で役立つケースがあります。まずは状態を確認した上でご提案します。


まとめ:麻痺症状は早期治療+継続ケアが回復のカギ

麻痺症状は、早期発見と継続的なケアが何より大切です。
西洋医学による原因治療・炎症のコントロールに加えて、東洋医学治療による血流改善や神経回復のサポートを組み合わせることで、回復の可能性を高められるケースがあります。
桑原動物病院では、犬猫の状態やご家庭の環境に合わせた治療プランをご提案しています。
「足の動きが悪い」「立ち上がりが遅い」と感じたら、どうぞお早めにご相談ください。