頭部や脊髄などの中枢神経系の診断に有効なMRI検査

MRI CENTER
桑原動物病院MRIセンター

少ない負担で
脳・脊髄の構造を明瞭化

前橋市の桑原動物病院ではMRIを導入しており、
生体内の構造や疾患を読み取る画像診断のもと、早期発見・治療に繋げています。

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高画質な3D画像、内部まで把握、被曝しない
CT SCAN
MRI検査について
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MRI検査とは、強力な磁石と電磁波を利用して身体内部の状態を画像化する先進的な画像診断法です。放射線被ばくがない検査のため、体への影響がほとんどなく、繰り返して検査を行うことが可能です。主に脳や脊髄などの中枢神経系の診断に非常に有効な検査となります。

MRI検査で分かること

頭部および脊髄・脊椎の異常

腫瘍
脳腫瘍や脊髄腫瘍の検出と評価に使用されます。
MRI検査では、腫瘍の位置、サイズ、種類を正確に把握するのに役立ちます。
血管障害
脳梗塞・脳出血や脊髄梗塞の検出が可能です。
これにより適切な治療を迅速に開始することができます。
炎症や感染症
脳炎、脊髄炎や脊椎炎などの炎症性疾患の診断に使用されます。
また、感染症の有無を確認することもできます。
脊髄障害
椎間板ヘルニア、環椎軸椎亜脱臼や馬尾症候群などの診断に有用です。
手術前の治療計画にも役立ちます。

筋肉・半月板・腱の異常

関節や靭帯の損傷
特に膝や肘の関節における靭帯や軟骨の損傷を詳細に評価します。
これは、関節疾患や外傷の治療計画に役立ちます。

腹部および胸部の異常

内臓の異常
肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、子宮や前立腺などの内臓臓器の病変を詳細に評価します。
腫瘍や炎症などの検出に優れています。

心臓および心血管の異常

心臓MRIは人医領域において心筋や冠動脈の形態・機能評価のために用いられておりますが、
犬・猫の伴侶動物医療では、限定的な使用となります。心筋症、心臓腫瘍や先天性心疾患の検出に利用されます。

MRI検査とCT検査の違い

MRI検査

MRI検査

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CT検査

CT検査

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仕組み 磁力と電波を利用 放射線を利用
放射線被ばく なし あり
画像の
コントラスト
非常に鮮明 MRIに劣る
部位がある
主な検査部位 頭部や脊髄などの
神経疾患
骨や胸・腹部の
疾患
撮影範囲 1度に
広範囲は不可
1回で
広範囲撮影が可能
検査時間 長い 短い
体内に金属が
ある場合
対応しづらい 対応可能

MRI検査の適応疾患

  • 神経系
    特発性てんかん/脳腫瘍/脳炎/脳梗塞・脳出血/水頭症/先天性脳奇形/代謝性脳症/ライソゾーム病(変性性疾患)/特発性前庭症候群/認知機能不全症候群/てんかんの原因疾患の鑑別
  • 脊髄系
    椎間板ヘルニア/脊髄腫瘍/脊髄炎/脊髄梗塞/環椎軸椎不安定症/脊髄空洞症/尾側頸部脊椎脊髄症(ウォブラー症候群)/馬尾症候群/変性性脊髄症
  • 筋骨格系
    靭帯損傷(例:前十字靭帯断裂)/関節疾患(例:関節炎、半月板・軟骨損傷)/筋肉の異常(例:筋炎、筋腫瘍)
  • 内臓・軟部組織
    肝臓腫瘍/腎臓腫瘍/膵臓疾患/脾臓疾患/前立腺腫瘍/その他の腹部腫瘍
  • 眼科
    眼球内腫瘍/眼球後腫瘍/視神経疾患
  • その他
    鼻腔腫瘍/副鼻腔炎/耳の中耳炎や内耳炎/咽喉頭の腫瘍

桑原動物病院のMRI検査の特徴

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幅広い症例の診断に有効
MRI装置は、現在利用できる画像診断検査の中でも最高水準の検査機器となります。当院では、富士フィルムメディカル株式会社の人間用の先進・高性能なMRI装置を導入しております。脳や脊髄などの中枢神経疾患における微細な病変を見逃さず、最も効率的かつ正確な診断を行うことができます。また、脳疾患のみならず、頸椎や腰椎などの脊髄疾患の診断においても大きな威力を発揮します。
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神経病・てんかん治療の
スペシャリスト
ご家族の方が動物病院を選ぶ際に、高性能な最新鋭の医療機器が整った施設が良いと思われるかもしれません。確かに、医療施設として高度診断・検査装置の整備はとても重要となります。しかし、最新の医療機器で精密かつ鮮明な画像を撮影できたとしても、その画像を詳細に分析し、正確な診断をくだすことができる専門家がいなければ何の意味もありません。つまり、設備の充実だけでなく、専門家の技術と知識も同様に重要です。特にMRI検査は、脳や脊髄などの中枢神経系の画像診断によく使用されますが、その読影には中枢神経系の解剖、生理、病態に関する深い専門知識が必要です。
これまで通り、当院では神経専門診察とMRI/CT画像検査を組み合わせることで、病気の診断と適切な治療の選択を行います。

MRI検査の流れ

  • 事前準備

    • 予約:MRI検査は事前予約が必要です。お電話により予約を受け付けております。
    • 絶食:検査の前日の夜22時以降より食事を与えないようにしてください。
    • 絶水:お水は、当日の朝まで与えていただいて問題ありません。

    ※主治医さまからお預かりの検査データがあればお持ちください。

  • 来院、問診、身体検査、
    神経学的検査

    • 来院:午前中の来院となります。お預かりして夕方のお迎えになります。
    • 問診・身体検査:これまでの経過や症状の確認を行い、麻酔前の全身状態の評価を行います。

    血液検査やX線検査などを必要に応じて実施します(すでに済んでいる場合は省略します)。

    • 神経学的検査:神経疾患の有無、病変部位の把握、疾患の鑑別や重症度の判定を行います。
  • 麻酔

    • 麻酔の必要性:動物はMRI検査中にじっとしていることが難しいため、全身麻酔が必要です。
    • 麻酔の施行:獣医師が適切な麻酔薬を選択し、できる限り最小限の麻酔深度で管理を行います。
  • MRI検査の実施

    • 位置決め:検査台に寝ていただき、正確な位置にセットします。検査する部位に応じて、適切なコイルで保定します。
    • 検査の実行:MRI装置を操作して、必要な部位の詳細な画像を取得します。検査時間は通常1時間程度です。
  • 麻酔からの覚醒と結果の解析

    • 麻酔の覚醒:検査が終了したら、麻酔を覚まさせます。動物が完全に覚醒し、安定するまで観察します。
    • 検査後安静:覚醒後もしばらくの間、動物の健康状態をモニタリングします。
    • 画像の解析:MRI画像を専門の獣医師が解析します。異常が見つかった場合、その詳細な評価と診断を行います。
    • 診断結果の説明:飼い主様に対して、MRI検査の結果と今後の治療方針について詳しく説明します。

MRI検査の際の注意事項

キャンセル料について

MRI検査のキャンセルの場合は、前日までにご連絡ください。
ご連絡なく当日キャンセルされた場合、
キャンセル料として検査の基本料金を申し受けております。

麻酔のリスクと安全管理

麻酔の必要性

1. 動物の静止状態の維持
MRI検査は高解像度の画像を取得するため、動物が完全に静止している必要があります。
動物が動いてしまうと画像がブレてしまい、正確な診断が困難になります。
2. 検査の快適性
MRI装置は大きな音が発生するため、動物が不安や恐怖を感じることがあります。麻酔を使用することで、動物がリラックスし、ストレスを軽減することができます。

麻酔のリスク

1. 麻酔に伴う一般的なリスク
  • 呼吸抑制:麻酔は呼吸を抑制することがあり、特に脳に病気がある場合や高齢動物では注意が必要です。
  • 心臓への影響:麻酔は心拍数や血圧に影響を与えることがあり、心臓病のある動物ではリスクが高まります。
  • 体温調節:麻酔により体温調節が困難になることがあり、低体温になるリスクがあります。
2. 個別の健康状態に応じたリスク
  • 年齢や健康状態:高齢動物や既往症がある動物は、麻酔のリスクが高くなる可能性があります。事前の各種臨床検査による評価が重要です。

麻酔の安全管理

1. 事前評価
  • 健康状態の確認:血液検査や心電図検査などを行い、動物の健康状態を評価します。これにより、麻酔のリスクを最小限に抑えます。
  • 既往歴の確認:過去の麻酔歴やアレルギーの有無を確認し、適切な麻酔薬を選択します。
2. 麻酔中のモニタリング
  • 生命徴候の監視:麻酔中は常に動物の心拍数、呼吸数、血圧、体温を監視し、異常があれば即座に対応します。
  • 適切な麻酔管理:麻酔の深度を適切に調整し、必要に応じて追加の麻酔薬を投与します。
3. 麻酔後のケア
  • 覚醒後の監視:麻酔から覚醒する際には、動物が完全に覚醒し、自力で呼吸できるようになるまで監視します。
  • 麻酔検査後の管理:麻酔後の回復を促進するために、暖かく快適な環境を提供し、必要に応じて鎮痛薬を投与します。

造影剤と安全管理

造影剤の使用目的

画像のコントラスト向上
  • 異常組織の検出:造影剤はMRI画像のコントラストを向上させ、腫瘍や炎症、血管の異常などの異常組織をより明確に識別するのに役立ちます。
  • 血管の詳細な評価:血管の構造や血流の状態を詳細に評価するために使用され、脳梗塞や脳出血、腫瘍内血管病変などの診断に有効です。
  • リアルタイムの血流評価:造影剤の使用により、リアルタイムでの血流や臓器の動態情報を取得し、機能的な評価を行います。これにより、動物の心臓や腎臓の機能状態を把握することができます。

造影剤の安全管理

1. 適応症と禁忌の確認
  • 事前評価:動物の健康状態や既往歴を確認し、造影剤の適応症と禁忌を評価します。腎機能障害のある動物には、造影剤の使用を避けるか慎重に行う必要があります。
2. アレルギーのチェック
  • アレルギー歴の確認:過去に造影剤や他の薬剤に対してアレルギー反応を示したことがあるかを確認します。必要に応じて、事前にアレルギー反応を予防する薬剤を投与します。
3. 投与方法の適正管理
  • 正確な投与量の管理:動物の体重や健康状態に応じて、適切な投与量を計算し、正確に投与します。過剰投与を避けるために、厳密な管理が求められます。
  • 点滴による投与: 造影剤は通常、静脈点滴を通じて投与されます。点滴の開始前に、血管の確保と適切な位置の確認を行います。
4. 造影剤の種類と安全性の考慮
  • 低分子量造影剤:一般的に使用される低分子量造影剤は、副作用が少なく、安全性が高いとされています。これらの造影剤を使用することで、リスクを最小限に抑えます。
5. モニタリングと緊急対応
  • 投与中の監視:造影剤の投与中は、動物の生命徴候(心拍数、呼吸数、血圧)を継続的に監視し、異常が発生した場合には即座に対応します。
  • 緊急対応の準備:アナフィラキシーなどの急性アレルギー反応に備えて、緊急対応キットや医療スタッフが常に準備されていることを確認します。
6. 造影剤の排出促進
  • 点滴注射:造影剤が体内から早く排出されるように、検査中から検査後に十分な点滴を行います。特に腎機能が低下している動物では、皮下補液や静脈点滴を徹底します。