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【獣医師監修】体の痛み(痺証)に対する東洋医学治療とは|犬猫の痛み改善のポイントを解説|前橋市の桑原動物病院

【獣医師監修】体の痛み(痺証)に対する東洋医学治療とは|犬猫の痛み改善のポイントを解説|前橋市の桑原動物病院

犬や猫が「足をかばう」「触ると痛がる」「最近なんとなく元気がない」と感じることはありませんか。
それは、体のどこかで“痛み”や“違和感”が起きているサインかもしれません。

東洋医学では、このような体の痛みやしびれ、重だるさをまとめて「痺証(ひしょう)」と呼びます。
桑原動物病院では、西洋医学的な診断を行ったうえで、鍼灸・温灸などの東洋医学治療を組み合わせ、
犬猫の生活の質(QOL)を高める痛みのケアを行っています。

東洋医学治療:お身体にできるだけ負担をかけない鍼やお灸による東洋医学治療


痺証(ひしょう)とは?体の痛みに見られる東洋医学の考え方

痺証とは、体をめぐる気(エネルギー)血(栄養)の流れが滞ることで起こる、 痛み・しびれ・重だるさ・違和感の総称です。

東洋医学では、単なる「関節痛」「筋肉痛」ではなく、

  • 冷え
  • 湿気
  • 加齢
  • 運動不足
  • 体質

といった要因が重なって起こる慢性的な不調として捉えます。

痺証は、進行すると動きづらさ・活動量の低下・筋力低下につながり、 犬猫の生活の快適さを大きく損なってしまいます。


痺証が起こる理由

東洋医学では、痺証の原因を大きく次の2つに分類します。

● 風寒湿痺(ふうかんしつひ)|冷えや湿気が原因のタイプ

寒い季節や雨の日に痛みが強くなる場合は、このタイプが多く見られます。
冷え(寒邪)や湿気(湿邪)が体内に入り、気血の流れを妨げることで、 筋肉や関節がこわばり、痛みや重だるさが出ます。

  • 特徴:冷えると痛みが強くなる、鈍い痛み、重だるさ
  • 多い時期:冬・梅雨・季節の変わり目
  • 体質傾向:シニア期、冷えやすい、血流が滞りやすい

治療では、温灸や血流を促すツボ刺激により体を温め、 滞った気血の流れを通して症状の改善を目指します。


● 熱痺(ねっぴ)|体の中に熱がこもるタイプ

体内にこもった熱や炎症が原因で、関節や筋肉に強い痛みや腫れが出るタイプです。
慢性的な炎症やストレスによる気の停滞から「熱」が生じ、痛みを引き起こします。

  • 特徴:赤み・腫れ・熱感、鋭い痛み、触ると熱い
  • 多い時期:夏・高温多湿の環境
  • 体質傾向:活動的、ストレスを受けやすい、熱がこもりやすい

この場合は、体にこもった熱を冷まし、気血の巡りを整える治療を行います。


犬猫で見られる「痺証」のサイン

次のような変化が見られる場合、痺証による痛みの可能性があります。

  • 立ち上がるのに時間がかかる
  • 散歩の途中で止まる、座り込む
  • 体の一部をなめる、触られるのを嫌がる
  • 気温が下がると動きが悪くなる
  • 関節が冷たい、または硬く感じる

「年のせい」と見過ごされがちですが、早期にケアを始めることで進行を防ぐことができます。


東洋医学治療でできること

痺証に対する東洋医学治療では、次のような効果が期待できます。

  • 鎮痛作用:鍼刺激により鎮痛物質(エンドルフィン)の分泌を促す
  • 血流改善:気血の巡りを良くし、筋肉・関節に栄養を届ける
  • 筋緊張の緩和:こわばりをゆるめ、関節の動きをスムーズに
  • 自律神経の調整:ストレスや冷えによる痛みの悪化を抑える

慢性的な痛みや、天候によって症状が変動するタイプの痛みに特に適しています。

東洋医学治療:お身体にできるだけ負担をかけない鍼やお灸による東洋医学治療


動物病院での一般的な治療(西洋医学)

犬猫の痛みに対して、西洋医学では以下の治療が行われます。

  • 鎮痛薬・抗炎症薬
  • 関節・軟骨を保護するサプリメント

これらに東洋医学治療を併用することで、 薬の効果を高め、回復を持続させやすくすることが期待できます。


当院での痺証治療の特徴

桑原動物病院では、西洋医学と東洋医学を組み合わせた統合医療を行っています。
温灸を併用し、体を内側から温めることで、 「動くと痛い」状態から「動くと楽になる」体づくりを目指します。

痛みの強さや体質に合わせたオーダーメイドの鍼灸治療を行っています。


ご自宅でできるケア

東洋医学治療とあわせて、日常生活でのケアも重要です。

  • 床やベッドを冷えない位置に置く(カーペット・床暖房の活用)
  • 散歩は暖かい時間帯に行う
  • 無理のない範囲での適度な運動
  • マッサージやブラッシングによる血行促進
  • ストレスを減らす生活環境づくり

毎日の小さな積み重ねが、再発防止と体質改善につながります。


よくある質問

Q1. 東洋医学治療はどんな痛みに向いていますか?

冷えると悪化する痛み、天候で変化する痛み、慢性的な関節痛などに特に適しています。

Q2. 薬を使っていても鍼灸治療は受けられますか?

状態によりますので、診察時にご相談ください。

Q3. 治療頻度はどれくらいですか?

初期は週1回程度、症状が安定してきたら2〜3週に1回が目安です。


まとめ|慢性痛には東洋医学治療の併用が効果的

痺証(ひしょう)は、気血の滞りから起こる体の痛みや違和感です。
寒さ・湿気・加齢によって悪化しやすいため、早めのケアが重要です。

東洋医学治療は、痛みの根本に働きかけ、 血流と神経のバランスを整えながら、薬に頼りすぎない回復をサポートします。

桑原動物病院では、一頭一頭の体質に合わせた鍼灸治療で、 「動ける・食べられる・眠れる」という日常の快適さを取り戻すお手伝いをしています。
体の痛みや動きの変化が気になる際は、お気軽にご相談ください。