【獣医師監修】冬に増える犬の関節トラブル｜東洋医学治療でできる冷え対策を解説｜前橋市の桑原動物病院
寒さが本格化する冬は、犬の関節トラブルが増えやすい季節です。
特に高齢犬や、関節炎・膝蓋骨脱臼・股関節形成不全などの持病がある犬では、 「動きが鈍い」「散歩を嫌がる」「段差を避ける」といった変化が目立つようになります。
冬場の関節痛は、冷えによる血流低下や筋肉のこわばりが大きく関係しています。
早めに対策を始めることで、症状の進行を防ぎ、日常生活の質（QOL）を保つことが可能です。
冬に多い犬の関節トラブルとは？
寒い季節になると、関節や筋肉が冷え、動き始めの痛みや違和感が出やすくなります。
特に以下のような犬では、冬場に症状が悪化しやすい傾向があります。
- 高齢犬（シニア期）
- 関節炎・変形性関節症がある犬
- 膝蓋骨脱臼や股関節形成不全がある犬
- 運動量が減りがちな犬
「寒くなると調子が悪くなる」という場合、関節トラブルが背景にある可能性があります。
なぜ冬は関節痛が悪化しやすいのか
冬に関節痛が強くなりやすい主な理由は次の2つです。
● 気温低下による血行不良
寒さで血管が収縮すると、関節や筋肉への血流が低下します。
その結果、酸素や栄養が届きにくくなり、痛みやこわばりが強くなります。
● 運動量の低下
寒さから散歩時間が短くなったり、動く機会が減ることで、 関節の可動域が狭くなり、炎症や硬直が進行しやすくなります。
冬は「冷えを防ぐこと」と「血流を保つこと」が、関節ケアの重要なポイントです。
こんな症状は要注意（受診の目安）
以下のような様子が続く場合、関節トラブルが進行している可能性があります。
- 立ち上がるまでに時間がかかる
- 散歩の途中で座り込む
- 段差や階段を避ける
- 関節を触ると痛がる、鳴く
- 歩行時に足をかばう（スキップのような動き）
これらは、関節炎や靭帯への負担のサインかもしれません。
症状が軽いうちに原因を特定し、適切なケアを行うことが大切です。
東洋医学治療でできること
桑原動物病院では、関節トラブルの改善と再発予防を目的に、東洋医学治療（鍼灸・温灸）を取り入れています。
東洋医学では、冬の関節痛を 「寒邪（かんじゃ）」「湿邪（しつじゃ）」による 気血（きけつ）の滞りと考えます。
鍼やお灸でツボ（経穴）を刺激することで、
- 血流を促進する
- 冷えによる筋肉のこわばりを緩める
- 関節周囲の柔軟性を高める
- 体全体の巡りを整える
施術では、腰や後肢を中心に、犬の症状や体質に合わせたツボを選択し、 温灸を併用して体の内側から温めます。
薬やサプリメントだけでは改善しにくい慢性的な関節痛や、 寒い季節に悪化する痛みに対して、 鍼灸治療は負担の少ない選択肢のひとつです。
継続的に行うことで、痛みの再発予防や、日常生活の快適さの維持が期待できます。
お家でできる冷え対策
ご家庭での工夫も、関節ケアにはとても重要です。
- 床からの冷気を防ぐため、マットやカーペットを敷く
- 寝床は冷気が入りにくい場所に設置する
- 散歩は暖かい時間帯（午前10時〜午後3時）に行う
- 軽いストレッチやマッサージで血流を促す
- 食事でタンパク質を意識し、体を内側から温める
冷えを防ぐことで筋肉の柔軟性が保たれ、関節への負担軽減につながります。
よくある質問（Q&A）
Q1. 散歩はやめたほうがいいですか？
いいえ。無理のない範囲で継続しましょう。
全く動かないと関節が固まりやすくなるため、短時間でも毎日歩くことが大切です。
Q2. 関節疾患に漢方は効果がありますか？
はい。漢方薬は、痛みや炎症を抑える補助的な治療として効果が期待できます。
西洋医学が「今ある痛みを抑える治療」であるのに対し、 漢方は痛みが起こりにくい体質づくりを目的とします。
Q3. 東洋医学治療はどのような犬に向いていますか？
慢性関節炎、術後のリハビリ、症状を繰り返している犬に適しています。
血流促進と痛みの緩和が期待できます。
まとめ｜冬は早期ケアが大切です
冬は、犬の関節トラブルが悪化しやすい季節です。
「少し動きが鈍いかな」と感じたときが、ケアを始めるタイミングです。
ご家庭での冷え対策と、動物病院での定期的なケアを組み合わせることで、 愛犬が冬でも快適に過ごせるようサポートできます。
桑原動物病院では、犬一頭一頭に合わせた関節ケアプランをご提案しています。
気になる症状がある際は、お気軽にご相談ください。