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【獣医師監修】腰痛に対する鍼灸治療の考え方|犬猫の痛みに東洋医学治療が選ばれる理由|前橋市の桑原動物病院

【獣医師監修】腰痛に対する鍼灸治療の考え方|犬猫の痛みに東洋医学治療が選ばれる理由|前橋市の桑原動物病院

犬や猫の「腰痛」は、背中〜腰にかけての痛みやこわばりがある状態を指します。
見た目では分かりにくいことも多く、「抱き上げると嫌がる」「散歩を嫌がる」「背中を丸めている」などの行動がサインになることがあります。

原因は、椎間板ヘルニア・関節炎・筋肉の緊張・加齢性変化などさまざまです。
慢性化すると歩行が不安定になったり、排尿・排便の姿勢が取りづらくなるなど、生活の質(QOL)に大きく影響します。
そのため、早期のケアと継続的な治療がとても重要です。

東洋医学治療:お身体にできるだけ負担をかけない鍼やお灸による東洋医学治療


腰痛はなぜ起こるのか(東洋医学の考え方)

東洋医学では腰痛を「どこか1か所が悪い」だけでなく、体のバランスの乱れや外的要因(寒さ・湿気)によって、気血(きけつ)の流れが滞ることで起こると考えます。
犬や猫に多い腰痛は、主に次の3タイプに分けて捉えることができます。

● 寒湿腰痛(かんしつようつう)──冷えと湿気が原因

冬や梅雨など、気温や湿度が変化しやすい時期に起こりやすいタイプです。
冷え(寒邪)や湿(湿邪)が体に入り、血流を妨げて筋肉や関節が硬くなります。体が温まると痛みが軽くなるのが特徴です。

  • 主な特徴:冷えると痛みが強くなる/重だるい痛み/雨の日に悪化しやすい
  • よく見られる体質:冷え性/加齢による血流低下/運動不足

● 腰筋労損(ようきんろうそん)──使いすぎ・負担の蓄積

過度な運動、活発な性格、先天的な関節トラブルに伴う筋肉疲労などが背景となるタイプです。
筋肉に気血の滞りが生じ、痛み・こり・だるさにつながります。

  • 主な特徴:動作時に痛む/安静時は軽い/押すと痛みがはっきりする
  • よく見られる体質:活発な若い犬/スポーツドッグ/関節トラブルがある子

● 腎虚腰痛(じんきょようつう)──加齢・慢性疲労によるエネルギー不足

シニア期に多いタイプで、東洋医学では「腎(じん)」の働きが弱まることで腰を支える力が不足すると考えます。
腎は生命エネルギーの源であり、骨・関節・神経の健康と深く関係します。エネルギーが不足すると、腰のだるさ・脱力感・冷えなどが出やすくなります。

  • 主な特徴:立ち上がりが遅い/寒い朝に動きが悪い/背弯姿勢/慢性痛
  • よく見られる体質:高齢犬・高齢猫/慢性疾患がある子

この症状は要注意(受診の目安)

次のような行動が見られる場合、腰に痛みを感じている可能性があります。

  • 立ち上がるときに時間がかかる
  • 背中を丸めて歩く
  • 階段やソファへの上り下りを避ける
  • 腰や背中を触ると嫌がる
  • 排尿・排便の姿勢が取りにくそう

これらが続く場合、関節疾患や神経疾患が隠れていることがあります。
早めの受診と検査をおすすめします。


東洋医学治療(鍼灸)でできること

東洋医学治療は、腰痛の原因にアプローチしながら痛みをやわらげる治療法として注目されています。
体に無理な負担をかけず、からだが本来持つ回復力を引き出すことが特徴です。

  • 痛みの緩和:ツボ刺激により鎮痛物質(エンドルフィン)が分泌され、自然な鎮痛作用が期待できます。
  • 血流の改善:筋肉の緊張をゆるめ、血行を促進。冷えやこわばりをやわらげます。
  • 自律神経の調整:リラックス効果により、ストレス性の筋緊張や体調低下を防ぐサポートになります。
  • 東洋医学治療:お身体にできるだけ負担をかけない鍼やお灸による東洋医学治療

動物病院で行う一般的な治療

腰痛の治療は、原因と重症度に応じて以下を組み合わせて行います。

  • 内科的治療:痛み止め・抗炎症薬・筋弛緩薬などで炎症と痛みを抑えます。
  • 外科的治療:椎間板ヘルニアなど重度の神経圧迫が疑われる場合は、手術を検討することがあります。
  • 東洋医学治療の併用:薬の副作用を抑えながら回復を促す補助療法として有効です。

桑原動物病院では、西洋医学+東洋医学の両立を重視し、症状に合わせた治療プランをご提案しています。


桑原動物病院の腰痛に対する東洋医学治療の特徴

当院では、痛みが出ている部位だけに注目するのではなく、体全体のバランスを整えることを重視しています。
鍼治療に温灸を併用し、体を内側から温めることで、筋肉と神経の回復をサポートします。

「動きが軽くなった」「表情が穏やかになった」など、飼い主さまからのお声も多くいただいています。


ご自宅でできるケア(生活環境の工夫・冷え対策)

ご家庭での工夫も、腰痛ケアの大切なポイントです。

  • 滑らない床材にする:フローリングにはマットを敷き、足腰への負担を減らします。
  • 段差を減らす:階段やソファの上り下りをできるだけ避けます。
  • 寝床を暖かく保つ:冬は冷気のこもらない場所に設置します。
  • 適度な運動を続ける:軽い散歩などで筋力と血流を維持します。

冷えを防ぎつつ、安静と活動のバランスを取ることで回復を助けます。


よくある質問(Q&A)

Q1. 東洋医学治療は痛くありませんか?

鍼は非常に細いため、ほとんどの動物は強い痛みを感じません。刺さない鍼を使うこともあります。
施術中に眠ってしまう子もいます。

Q2. 薬の併用はできますか?

はい。西洋医学的治療と併用することで、薬の副作用を抑えながら回復を促すことができます。

Q3. どのくらいの頻度で通えばよいですか?

初期は週1回を目安に、症状が落ち着いたら間隔をあけていきます。


まとめ:腰痛は早期治療+併用ケアが効果的

腰痛は「年齢のせい」と思われがちですが、早期に治療を始めれば、痛みを軽減し再発を防ぐことができます。
桑原動物病院では、内科・外科治療に加え、動物の自然治癒力を引き出す東洋医学治療を組み合わせたケアを行っています。

「最近動きがぎこちない」「抱っこすると痛がる」と感じたら、どうぞお早めにご相談ください。