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【獣医師が解説】犬の脳腫瘍とMRI検査|症状・検査の流れ・費用目安まで|前橋市の桑原動物病院

【獣医師が解説】犬の脳腫瘍とMRI検査|症状・検査の流れ・費用目安まで|前橋市の桑原動物病院

前橋市・高崎市・伊勢崎市・藤岡市・安中市・渋川市のみなさん、こんにちは!
前橋市の桑原動物病院です。今回は犬猫の脳腫瘍とMRI検査について解説します。

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1. 犬の脳腫瘍とMRI検査の重要性

近年の伴侶動物医療の進歩により、犬の脳腫瘍の診断と治療は日常的に行われるようになってきました。初期症状としてはてんかん発作が多い一方、その他の臨床徴候は目立ちにくく、発見が遅れることもあります。
MRI検査は脳の内部構造を詳細かつ立体的に可視化でき、腫瘍の存在・位置・大きさ・周囲組織との関係に加え、性状(良性・悪性の推測)の評価にも有用です。早期発見・正確な診断のために欠かせない検査です。


2. 犬の脳腫瘍とは?その症状と発見のきっかけ

犬の脳腫瘍は、発生部位や細胞の種類で分類されます。主な腫瘍は以下のとおりです。

  • 髄膜腫(Meningioma):脳を覆う髄膜から発生。犬の原発性腫瘍で最も一般的。高齢犬の長頭種に多い傾向。
  • グリオーマ(Glioma):神経膠細胞から発生。星状細胞腫(astrocytoma)や希突起膠腫(oligodendroglioma)など。短頭種(例:フレンチブルドック、ボクサー)で若齢発症もあり。

よくみられる症状

  • てんかん発作
  • 性格変化(怒りっぽい・無気力など)
  • 歩行異常(ふらつき、片麻痺)
  • 視覚障害(物にぶつかる など)

特に9歳以上の高齢犬新規にてんかん発作が見られた場合は、脳腫瘍を念頭に早期のMRI検査をご検討ください。近年は人気犬種のフレンチブルドックなどでグリオーマ5〜8歳の比較的若い年齢でも発生することが知られています。

チワワ 12歳 髄膜腫 CE-T1WI 

 

ボストンテリア 5歳 稀突起膠細胞腫


3. 脳腫瘍の診断にMRIが必要な理由

MRI検査は、病変の位置・大きさ・性状を高い解像度で描出できるのが特徴です。腫瘍と周囲の浮腫、脳圧亢進の評価、造影所見による腫瘍性病変の同定などに優れ、治療計画立案(手術・放射線・薬物療法)に直結する情報を提供します。


4. 犬のMRI検査の流れと注意点

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検査前の準備

  • 食事制限:12時間前から絶食、3時間前から絶水。
  • 麻酔:MRIは全身麻酔下で実施します(安全性確保のため事前検査を行います)。

検査中の手順

  • 検査時間は約1時間が目安です(症例により前後)。
  • 必要に応じて造影剤を使用し、病変部位のコントラストを強調して評価します。

検査後の注意

  • 麻酔覚醒後は安静にし、当日の激しい運動は控えてください。
  • 嘔吐・元気消失などが持続する場合はご連絡ください。

5. 犬の脳腫瘍MRI検査にかかる費用の目安

  • MRI検査費用:一般的に10〜15万円前後(検査内容・施設により変動)。
  • 詳細は事前にお問い合わせください。

保険適用の可能性:ペット保険ご加入の場合、MRI検査が補償対象となることがあります。ご加入の保険内容をご確認ください。


6. MRI検査による診断結果と治療方針の決定

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MRIで脳腫瘍が疑われ/確認された場合、以下の選択肢を症例に合わせて検討します。

  • 外科手術:腫瘍摘出(特に髄膜腫などで有効な場合)。
  • 放射線治療:手術困難部位や残存腫瘍に対して。
  • 化学療法:腫瘍タイプに応じた薬物治療。
  • 対症療法:てんかん発作コントロール、脳浮腫管理 など。

腫瘍の種類、進行度、年齢・体力、生活の質(QOL)を総合的に評価し、ご家族と相談の上で最適な治療方針を決定します。


7. 桑原動物病院のMRI検査の特徴とサポート体制

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最新のMRI機器と高精度な診断

当院では人医療グレードの最新型MRI装置を用い、微細な脳病変も高精度に評価可能です。犬の代表的腫瘍である神経膠腫(グリオーマ)髄膜腫などの早期発見・正確診断に力を入れています。

 

専門的なサポート体制

神経疾患に精通した獣医師が、MRI画像と臨床徴候を総合評価し治療方針を立案。放射線治療施設・大学病院と連携し、外科・放射線・薬物療法を組み合わせた集学的治療を提供します。ご家族に寄り添い、丁寧な説明と親身な対応を心がけています。