前橋市の桑原動物病院のブログ

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犬の緑内障の症状と治療、予防について解説

前橋市・高崎市・伊勢崎市・藤岡市・安中市・渋川市のみなさん、こんにちは!
前橋市の桑原動物病院です。今回は犬の緑内障の症状や治療、予防などについて獣医師が詳しく解説していきます。

○病態・症状

緑内障は眼圧が高まることによって、“物を見る”ために重要な視神経や網膜が障害され、視覚に異常をきたす病気です。正常な眼球では、眼球の中で一定量の液体(眼房水)が作られ、それと同時に一定量の眼房水が排水されています。それによって眼球内は一定の眼圧を保つことができています。緑内障になると、眼房水を排水する場所(隅角)が詰まってしまったり、狭くなることで眼球内に眼房水がうっ滞し、眼圧が高まります。

緑内障は大きく原発性緑内障と続発性緑内障に分類されます。原発性緑内障の多くは遺伝的に隅角に形成異常を持っています。緑内障になりやすい犬種としては、アメリカン・コッカー・スパニエル、柴犬、バセット・ハウンド、ビーグル、ワイアード・フォックス・テリア、プードルなどが挙げられます。続発性緑内障とは、ぶどう膜炎、眼球内腫瘍、水晶体脱臼、網膜剥離、白内障などが原因となり、炎症細胞の浸潤やタンパク質の漏出によって物理的に隅角が詰まることで、眼圧が高まります。

 緑内障の主な症状は、結膜や強膜の充血、血管の怒張、目の痛み、瞳孔が開く(散瞳)などです。また慢性期になると、眼圧上昇に伴い眼球が拡張し、“牛眼”と呼ばれる状態になる場合があります。

○診断

緑内障は眼圧測定によって診断できます。眼圧検査には眼圧計を使用します。犬の正常眼圧は10〜25mmHgとされていて、それを超える状態が高眼圧です。また、高眼圧の状態が続くと眼底検査によって視神経乳頭が正常よりも暗く見えたり、小さく見えたりするため眼底検査も行います。

○治療

 緑内障の治療には内科治療と外科治療があります。

 内科治療の目的は目薬によって眼圧をコントロールすることです。緑内障の目薬には「眼房水の産生を抑制する目薬」と「眼房水の排出を促進する目薬」があり、さまざまな目薬を使い分けることによって眼圧をコントロールしていきます。

 外科治療は内科治療に反応が悪い場合や、反応しない場合に行うことがあります。緑内障の外科治療は視覚がある場合、ない場合によって異なります。視覚がある場合の外科治療にはシャントチューブ設置術、毛様体光凝固術を実施します。シャントチューブ設置術とは白目の下に専用のインプラントを挿入することで、眼房水の排水を促進し眼圧を下げる方法です。毛様体光凝固術とは、眼房水が作られる場所である毛様体にレーザーを当てることで眼房水産生を抑制し眼圧を下げる方法です。視覚がない場合の外科治療には眼球摘出術、シリコン義眼挿入術、毛様体破壊術を実施します。眼球摘出術は、眼球自体を取ることによって緑内障による痛みから解放できる方法です。シリコン義眼挿入術とは眼球内の物質を除去し、代替にシリコンのボールを挿入する方法です。毛様体破壊術とは、毛様体を薬剤によって壊し眼房水の産生機能を失わせることで、眼圧を下げる方法です。