前橋市の桑原動物病院のブログ

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犬のクッシング症候群の原因、症状、診断、治療法について解説

前橋市・高崎市・伊勢崎市・藤岡市・安中市・渋川市のみなさん、こんにちは!
前橋市の桑原動物病院です。今回は犬の歯周病の症状や治療、予防などについて獣医師が詳しく解説していきます。

○病態

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは、副腎皮質から分泌されるホルモンの過剰な産生または投与により生じ、犬で最も一般的に診断される内分泌疾患です。中齢以降(8才以上)の犬がクッシング症候群になりやすい傾向にあります。

クッシング症候群は大きく分けて3つの原因により、コルチゾールが分泌されすぎて症状が出るといった病態のことをさします。

・下垂体性クッシング症候群

脳下垂体の腫大やがん化が原因で、コルチゾール分泌を促進するホルモン(ACTH)が出続け、副腎皮質ホルモンも分泌し続けてしまうという状態になるということです。

全体の90%を占めます。

・副腎腫瘍

副腎の腺がん、腺腫が原因で、とても稀に過形成も報告があります。副腎自体が勝手に働いてコルチゾールを分泌してしまうので、体はコルチゾール過剰となります。全体の10%程度を占めます。

・医原性クッシング症候群

アトピー性皮膚炎や自己免疫性疾患の治療でステロイド薬を長期間使用し続けることで、クッシング症候群と同じような症状を示す状態をいいます。この場合は他の2種類と比較して副腎の機能はもともと正常でしたがステロイド薬の投与により副腎が小さくなってしまっており、症状はクッシング症候群と一緒ですが体の中は副腎が機能低下している状態になっています。

○症状

主な症状は、多飲多尿や多食、パンティング、元気消失です。皮膚では、徐々に進行する左右対称性の脱毛が起こります。脱毛部位の皮膚は血管が透けて見えるほどに薄く、皺が認められるようになります。また、筋肉の萎縮や肝臓の腫大などにより腹部が膨満した状態になります。免疫力も低下するため二次性の膿皮症、皮膚糸状菌症や毛包虫症に罹患することもあります。

○診断

臨床症状から副腎皮質機能亢進症が疑われた場合、一般血液検査、血液生化学検査、尿検査、腹部超音波検査などを行います。その後、確定診断として行うのが副腎機能試験のACTH刺激試験です。

○治療

下垂体性のクッシング症候群に対しては、内科治療、外科治療、放射線治療があり、副腎腫瘍性に対しては、内科治療、外科治療、放射線治療があります。

医原性クッシング症候群の場合は、徐々にステロイド剤を減らして、投薬をやめるようにします。