前橋市の桑原動物病院のブログ

BLOG
ブログ

犬の歯周病の症状と治療、予防について解説

前橋市・高崎市・伊勢崎市・藤岡市・安中市・渋川市のみなさん、こんにちは!
前橋市の桑原動物病院です。今回は犬の歯周病の症状や治療、予防などについて獣医師が詳しく解説していきます。

○病態・症状

歯周病とは歯垢中の歯周病原細菌によってお口の中に炎症が引き起こされる病気です。歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称です。炎症が歯ぐき(歯肉)のみに留まっているものが歯肉炎です。歯肉炎が進み、歯肉以外の部位にも炎症が広がっているものを歯周炎と呼びます。歯肉炎は歯肉が赤くなる程度で治療によって治すことができます。その一方で歯周炎になると歯を支えている骨まで溶かし、膿が出たり、歯が揺れてきたりなど完全に回復させることは難しくなります。さらに進行すると、お口とお鼻を隔てる骨や粘膜まで溶けることでお口とお鼻が繋がってしまったり(口腔鼻腔瘻)、皮膚に穴が開いてしまったり(外歯瘻管)します。また細菌が血管の中に入り込み、血液の流れに乗って腎臓や心臓、肝臓などに影響が及ぶと命に関わるような症状を引き起こすこともあるので歯周病を予防することはとても大切です。

歯周病で見られる主な症状には、口臭、歯垢の付着、歯が揺れる、歯が抜ける、硬いものが食べにくそう、歯肉が赤い、歯肉が下がってきた、歯肉から膿や血が出る、痛み、くしゃみ、鼻水、鼻出血などが挙げられます。

○診断

歯周病の診断は症状含め、お口の状態を見て行います。確定診断とステージ分類をするためには全身麻酔での詳しい検査が必要となることもあります。

歯周病のステージは歯肉炎(ステージ1)、軽度歯周炎(ステージ2)、中等度歯周炎(ステージ3)、重度歯周炎(ステージ4)に分類されます。

○治療

歯周病の治療は歯垢・歯石の除去(スケーリング)です。しかし歯周病が進み歯がぐらぐらしている場合は修復することが困難となるため、歯を抜く治療になります。これらの治療は全身麻酔にて行う必要があります。

スケーリングには超音波の振動を利用して歯石を砕く超音波スケーリング、超音波スケーリングでは取りきれない細かな部分の歯石を剥がすハンドスケーリングがあります。スケーリングをした後の歯の表面はざらざらしており、歯石が再び付きやすい状態になります。スケーリング後に行うポリッシングは歯の表面をつるつるに磨くことで歯石を付きにくくすることができます。

○予防

歯周病を防ぐために一番効果的なことは「歯みがき」です。小さい頃からお口の中を触られることに慣れさせ、最終的に1日1回の歯みがきができることを目標にしましょう。

お口をさわる→くちびるをめくる→指で歯を触る→歯みがきシートで歯を触る→歯ブラシを口に入れる→歯ブラシでみがくといったステップをご褒美を与えながら少しずつ進めることで歯みがきトレーニングを成功に導いていきましょう。